意外かもしれませんが、ゴルフスイングでは腰の運動がほとんど必要ありません。

よく腰を切るという表現がされますが、実際には股関節の運動であり、腰の関節である腰椎椎間関節には回旋運動の可動域がほとんどありません。

また、この腰椎椎間関節は回旋ストレスが加わると腰痛を引き起こす可能性があるため、股関節の回旋可動域がとても重要となります。


1.ゴルフスイングにおける腰の運動

ゴルフスイングでは腰を切る運動が重要であることは間違いありません。

テイクバックでは骨盤が右を向き、ダウンスイングで回旋して、インパクトではビシッと止まり、フォロースルーになるとゆっくりと左を向きます。

実はこの動き、股関節が重要なのであって、腰の関節(腰椎椎間関節)はほとんど動いていません。

そもそも腰というのは骨盤よりも上の部分を指します。

骨盤はむしろお尻と表現した方が正しいです。

お尻とはヒップのことですが、股関節を英語で言うとヒップジョイント、つまり骨盤の運動は股関節の運動になります。

テイクバックでは右の股関節がやや曲がり(屈曲)内側に回旋(内旋)することで骨盤が右を向きます。

ダウンスイングでは左の股関節が屈曲、内旋して骨盤が急速に回旋します。

つられるようにして胸郭も回旋してきますが、腰椎椎間関節の運動は起こらず、今度はその上にある胸椎椎間関節(背骨の胸の高さの部分)が回旋しています。

つまり、ゴルフスイングには腰の運動が関係なく、股関節と胸椎椎間関節の運動が重要となります。

これを理解するとずいぶんゴルフスイングが上達すると思います。


2.腰椎椎間関節とゴルフに関する腰痛

さて、股関節と胸椎椎間関節の運動が重要と述べましたが、これにはゴルフスイングを美しくするだけでなく、腰痛を予防するという効果もあります。

そもそも腰椎椎間関節の運動は回旋ではなく前後屈がメインです。

これには腰椎椎間関節の関節面の形状が深く関わっています。

膝関節や肘関節が前後には曲がるけど内側や外側には曲がらないのは、関節面がレールのようになっていて滑車様の運動しか行えないからです。

腰椎椎間関節も同様に、関節面が前後にしか動かないようになっています。

回旋しようものなら関節面のある突起がポキッと折れてしまいます。

折れなかったとしても回旋ストレスが繰り返しかかることで一種の腰痛を引き起こします。

これを腰椎椎間関節症といいます。

腰椎椎間関節症を予防するためには、股関節と胸椎椎間関節、さらには肩甲骨の可動域を増大させる必要があります。

有効な手段としてはストレッチを習慣化することです。

一度に強く伸ばすと腰椎にもストレスが加わるため、毎日少しずつ伸ばしていくことが重要です。

毎日お風呂上りにコツコツとストレッチを行うことで、ゴルフの上達と腰痛の予防を目指しましょう。