ゴルファーに必要なフィジカルパフォーマンスのひとつとしてバランス能力があります。

バランス能力はたくさんの感覚情報を統合して、筋肉の働きを調整することで保たれます。

再現性が重要となるゴルフスイングにはバランス能力は必要不可欠な要素といえます。


1.バランス能力の重要性

ゴルフスイングにおいてバランス能力は必要不可欠なフィジカルパフォーマンスです。

我々人間はいつもバランスを保って生活をしています。

背もたれにもたれずに座っているときや、両脚で立っているときもバランスをとっています。

床面に接地している面積を支持基底面といい、重力下におかれる物体はすべて支持基底の内側に重心をおくことでバランスをとっています。

支持基底面から重心が逸脱すると、転倒してしまいます。

この重心のコントロールこそがバランス能力です。

人間の脳は目からの視覚、三半規管からの前庭感覚、各関節や皮膚、筋肉からの位置覚と運動覚、足底面からの触圧覚などの感覚情報を統合して、転倒しないように各筋肉に命令しています。

何か動作を行う際には、この能力を位置エネルギーや運動エネルギーとして利用しています。

例えば歩行であれば、支持基底面より前方へ重心を移動することで転倒が起こりますが、一歩脚を踏み出すことで転倒せずに移動することができ、これを繰り返すことで長時間の歩行を可能にしています。

また、物を両手で持つ際には、支持基底面の前方にあった重心を後方に移動させることで持ち上げる腕の負担を軽減することができます。

ゴルフスイングにも当然このバランス能力が関係していて、上達のヒントになるといえます。


2.ゴルフスイングにおけるバランス能力

上述した通り、様々な感覚情報を頼りにバランスを保っていることから、環境因子もバランスを保つうえで重要な要素となります。

例えば傾斜地、錯覚しそうな木の生えかたや芝を刈った跡、外力である風などはバランスを崩しやすくします。

また、ゴルフスイングはボールを打つ際に体幹を回旋させて腕を大きく振ることから重心が乱れます。

再現性が重要であるゴルフスイングにとって、この重心の乱れは打ち出したボールの結果を大きく左右します。

重心の位置はなるべく変化させない、または一定の軌跡を描くようにすることが重要となります。

ただし、一定の軌跡を描くには限界があるため、例えば左足の土踏まずなら左足の土踏まずで、一点を決めておくと再現性が高くなる可能性があります。

この重心を保つための筋力ですが、関節を安定させる役割を担うインナーマッスルが重要です。

特に体幹のインナーマッスルである腹横筋(ふくおうきん)や多裂筋(たれつきん)、足関節のインナーマッスルである腓骨筋群(ひこつきんぐん)や後脛骨筋(こうけいこつきん)の働きは欠かせません。

まずは片脚立ちでバランスがピタッと保てるように鍛えることでゴルフの上達を目指すことをオススメします。