ゴルフスイングでは脇が開くと致命的で、手打ちとなり、スライスもフックも出現します。

体幹を回旋させてスイングするには脇の開きを防ぐ必要がありますが、脇を締めると考えられる大胸筋を緊張させ過ぎるとかえって脇が開きます。

大胸筋は脇を締めるのではなく腕を絞る筋肉で、正しく使う必要があります。


1.大胸筋だけでは脇が締まらない

一般的に大胸筋(だいきょうきん)は脇を締める筋肉であると考えられます。

胸の前面から腕の前面に付着していて、正面からみればあたかも脇が締まりそうです。

腕を垂らした通常の起立姿勢であれば、もちろん脇を締める方向に力が働きますが、主たる作用は肩関節の内旋(腕を内側に回旋)です。

ゴルフスイングのテイクバックのように少し腕が挙がった状態で、大胸筋だけを働かせると肩が内旋し、腕の前面が胸に近づいて後面が遠ざかるため、脇が開いてしまいます。

ここで、肩関節を外旋(腕を外側に回旋)させる筋肉である棘上筋(きょくじょうきん)や棘下筋(きょっかきん)が強く働けば大胸筋と拮抗して内外旋が相殺され、脇を締めることができます。

さらに、同じく肩を内旋させるものの、背中側から脇を締める作用のある広背筋(こうはいきん)と大円筋(だいえんきん)を同時に使うことで脇絞め効果が高まります。

ただし、棘上筋や棘下筋はインナーマッスルであり、大胸筋などの肩関節を内旋させる筋群に対して圧倒的に弱いため、大胸筋の過剰な緊張は抑制しなければなりません。

ゴルフスイングを上達させるためには脇にある筋肉の理解が必要です。


2.腕を絞った正しいゴルフスイング

そもそも、ゴルフスイングで脇を締めるという表現が曖昧です。

トッププロのスイングをみると、外には開きませんが、前には開きます。

カメラの角度や体幹の回旋角度によっては、脇が外に開くように見えることもあります。

これを無理に修正すると、今度は肘が内側に入りすぎる原因となります。

両肘間の距離を変えないように腕を内側に絞るという表現が正しいかと思います。

さて、この腕を絞ったスイングには先ほど説明した大胸筋をはじめとする脇にある筋肉が重要です。

特に肩を外旋させる棘上筋と棘下筋が美しいトップやフォロースルーを作るために必要となります。

トップでは右肩を外旋させ、左肩を内旋させながら前方に突き出します。

フォロースルーは反対に左肩を外旋させ、右肩を内旋させながら前方に突き出します。

大胸筋の緊張はどちらの肩も内旋させる際に強く働くと効果的で、逆に外旋させる際は緊張を減少させるようにできると美しくなります。

ゴルフスイングの上達に向けて、脇の筋肉が正しく使えるように工夫しましょう。