ゴルフスイングというとクラブを横に振っているように見えますが、体幹を中心に見ると脇が開くような運動はなく、実際には剣道の面を打つ運動に似ています。
大きな違いは腕の挙上が剣道よりも小さいことと、左肘を伸ばしたままにしていること、アームローテーションがあることです。
理想的なスイングを作るための骨盤と胸郭の回旋と腕の振り方について解説いたします。
1. ゴルフスイングと剣道の面を打つ運動
ゴルフスイングは一見するとクラブを横に振っているように見えます。
特に初心者の人に多いのが、身体を正面に向けたまま、脇を開けてボールを払うように打ってしまいます。
体幹軸を中心にゴルフスイングを見てみると、腕の振り方は挙げたり(屈曲)降ろしたり(伸展)する運動であり、骨盤や胸郭が回旋していることや、肩、肘、手関節の複合的な運動により横に振っているように見えるだけです。
ゴルフスイングの肩関節は剣道の面を打つ運動に似ています。
特に肩関節や肘関節を目標に向かって伸ばしていくところはほぼ同じと言えます。
逆に剣道の面を打つ運動とゴルフスイングの違いは、剣道ほど高く振り上げないこと、左肘を伸ばしていること、肩甲骨の運動によりアームローテーションが起こることです。
高く振り上げないのは右の脇が開かないように肩関節を外旋位に保っているからです。
左肘を伸ばしているのはクラブをリードするのが左側であり、肘を曲げない方がより簡単にボールを捉えることができるからです。
アームローテーションが起こるのは、剣道は両側とも肩甲骨をプロトラクション(前に出す)するのに対し、ゴルフは右側がプロトラクション、左側はリトラクション(後ろに引く)するからです。
剣道の面を打つ運動を練習することでゴルフスイングが上達しそうですね。
2. 剣道の面を打つ運動に体幹の運動を組み合わせる
ゴルフスイングの腕の運動が剣道の面を打つ運動に似ていることが分かったところで、ゴルフスイングをさらに美しくするためには、骨盤や胸郭の回旋と上述した肩甲骨の運動が重要となります。
剣道の面を打つ運動にこれらの運動を組み合わせることで、美しいゴルフスイングが完成します。
まず骨盤の回旋は股関節を回旋させることで起こります。
テイクバックでは右股関節が内側に回旋(内旋)、ダウンスイングでは左股関節が内旋します。
次に胸郭は骨盤が回旋した後に胸椎椎間関節(背骨の胸の高さの部分)が回旋します。
股関節の内旋がそれ以上いかなくなった時に初めて回旋します。
テイクバックでは、胸椎椎間関節が右に回旋し、インパクトのタイミングで左回旋します。
最後に肩甲骨ですが、テイクバックでは胸椎椎間関節の回旋が止まったところで、右の肩甲骨がリトラクションし、左の肩甲骨がプロトラクションします。
インパクトからフォロースルーにかけて、右の肩甲骨がプロトラクションし、左の肩甲骨がリトラクションします。
このように基本的には剣道の面を打つ腕の使い方で間違いありませんが、股関節、胸郭、肩甲骨がコイルのように順番に回旋することによって、全く違った運動に見えています。
剣道の面を打つ運動を意識してスイングすることで、ゴルフスイングの上達を図りましょう。